「雇用保険被保険者資格取得届」とは
ほぼ全ての従業員の加入が必要な「雇用保険」
雇用保険の加入条件は社会保険と比べると非常に低く、従業員を雇っていれば正社員やアルバイト・パート関係なくほぼ全ての従業員に加入が必要といえます。厚生労働省HPにある雇用保険の加入条件をみてみましょう。
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。
(2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
厚生労働省HPより
つまり、
- 1ヶ月以上雇う予定がない(日雇い労働者など)
- 週20時間未満の短時間労働者
どちらかでない限りは、雇用保険の加入は必須ととらえることができます。
ソフトがなければ「ネットで作成」した文書をハローワークに提出するのが一番簡単
では雇用保険を従業員に加入させるにはどういった手続きが必要でしょうか?
これは雇用保険被保険者資格取得届という書類をハローワークに提出する必要があります。長い名前ですが、雇用保険の対象になる資格を取得した従業員がいるので届け出るという書類のため、そのままといえばそのままですね。
では続いてこの書類の提出期限や添付書類について確認してみましょう。
被保険者となった日の属する月の翌月10日まで
となっており、その従業員を雇用した月の翌月10日までと思っていてほぼ間違いはありません。次に添付書類についてみていきましょう。
- 賃金台帳
- 労働者名簿
- 出勤簿(タイムカードなど)
- 社会保険の資格取得関係書類
- 雇用契約書等(雇用期間を確認できる書類
これをみて「添付書類が多いなぁ‥」と思った人もいるかもしれません。ご安心ください、実はこの添付書類は次の場合を除いて全て省略することが可能なのです。
○ 事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合
※厚生労働省資料より
○ 被保険者資格取得届について届出期限(被保険者となった事実のあった日の属する月の翌月10日)を過ぎて提出される場合
○ 過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
○ 労働保険料の納付の状況が著しく不適切である場合 など
実際のところ、ほとんどの場合で添付書類はなしで提出できるといえるでしょう。しかし何らかの原因で提出期限をすぎてしまった場合はこの条件に当てはまってしまうため、添付書類を付ける必要が出てきます。
凡ミスで添付書類をつけるのは非常に面倒ですので、今回の「雇用保険被保険者資格取得届」の作成の仕方をしっかり確認して、提出期限を過ぎることのないように頑張ってくださいね!
「雇用保険被保険者資格取得届」のネットでの作成方法
事前に確認しておきたい従業員の情報
最初に雇用保険被保険者資格取得届を作成するための「従業員情報」について確認しておきましょう。(※氏名や性別などすぐわかる部分については外してあります)
- 従業員のマイナンバー
- 雇用保険被保険者番号
- 事業所番号
- 賃金の支払形態と月額賃金
- 入社日
- 雇用形態
- 入社経路
- 従業員の職種
- 1週の所定労働時間
- 契約期間の定めの有無
これだけ情報を準備していれば、あとは書類に入力していくだけとなりますね。項目が多いように感じるかもしれませんが、従業員の雇用に関する基本情報のような項目ばかりです。事前に確認しておきましょう。
ここからは入力フォームについてみていきましょう。
ハローワークインターネットサービスを見つける
ハローワークインターネットサービスの「雇用保険被保険者資格取得届」の帳簿作成ページに移動しましょう。サイトのトップページからはかなりわかりづらい場所にあるため、下記に直接ページにいくリンクを載せています。
ハローワークインターネットサービス:雇用保険被保険者資格取得届
「雇用保険被保険者資格取得届」の従業員情報入力
ここからは「雇用保険被保険者資格取得届」を作成するために入力フォームから情報を入力していきましょう。まずはこの様式を使うために情報の入力画面まで進みましょう。
- 個人情報の取り扱いの同意にチェック
- 内容を入力して印刷にチェック
フォームに入力する内容について
- 個人番号
- 被保険者番号
- 取得区分
- 被保険者氏名
- (変更後の氏名)
- 性別
- 生年月日
- 事業所番号
- 被保険者となったことの原因
- 賃金
- 資格取得年月日
- 雇用形態
- 職種
- 就職経路
- 1週間の所定労働時間
- 契約期間の定め
この項目の中から、特に注意しておきたいものを解説します。
個人番号
従業員のマイナンバーです。雇用保険関連の申請にはマイナンバーが必須となっていますが、重要な個人情報のためここでは入力不可となっています。これは印刷後に手書きをする必要があります。
被保険者番号
雇用保険の被保険者番号を入力します。以前別の会社に勤めていた従業員の場合は、採用時に雇用保険の被保険者証を提出してもらっています。この被保険者証に記載してあるのが被保険者番号となります。
取得区分
新規・再取得のどちらかを選択します。
- 新規 :初めて雇用保険に入る人
- 再取得:今まで雇用保険に入っていたことがある人
事業所番号
ハローワークに登録されている会社の番号となります。過去に申請した書類や、現在の従業員の確認通知書などに記載してありますのでそれを入力して下さい。
○○○○-○○○○○○-○という4桁・6桁・1桁の連番となっています。
被保険者となったことの原因
- 新規雇用(新規学卒)
- 新規雇用(その他)
- 日雇からの切替
- その他
- 出向元への復帰など(65歳以上)
の中から選択します。どれに該当するかよくわからない場合は、提出先のハローワークに問い合わせてみましょう。(提出する時に持参するなら、その時に記入してもOK)
賃金
賃金の支払い形態を次の項目から選んで、それに応じた月の賃金を入力します。
- 月給
- 週給
- 日給
- 時間給
- その他
支払い形態に関係なく、金額は月の賃金を入力してください。
資格取得日
資格取得日に関しては「入社日」を入力してください。また日雇いからの切替の場合は切り替えた日の入力をする必要があります。土日祝日は関係なく、雇用契約が始まった在籍開始の日となります。
資格取得届の「(11)欄資格取得年月日」の欄には、事業主と本人との間で契約した在籍となる初日(試用期間、研修期間も含みます。)を記入していただくこととなります。特に、試用期間、研修期間、休日、祝日等がある場合には、間違いが大変起こりやすくなっていますので、十分注意してください。
※東京ハローワークHPより
雇用形態
従業員の雇用形態を次の項目から選択してください。
- 日雇
- 派遣
- パートタイム
- 有期契約労働者
- 季節的雇用
- 船員
- その他
職種
従業員の職種について選択します。一番近いものを選択するか、過去に同じ職種で雇い入れた人がいればその人と同じものを選べば間違いありませんね。
- 管理的職業
- 専門的・技術的職業
- 事務的職業
- 販売の職業
- サービスの職業
- 保安の職業
- 農林漁業の職業
- 生産工程の職業
- 輸送・機械運転の職業
- 建設・採掘の職業
- 運搬・清掃・包装等の職業
就職経路
ハローワークの紹介か、自社で求人した人なのか、民間の求人サイト(会社)から雇用したのかを選択します。
- 安定所紹介
- 自己就職
- 民間紹介
- 把握していない
1週間の所定労働時間
1週間の所定労働時間を入力します。雇用契約書にも記載が必要な事項のため、その書類を確認すれば間違いありませんね。
「雇用保険被保険者資格取得届」の会社情報入力
後は会社の内容を入力していくことになります。会社の入力内容は次のようになります。普段使用している会社情報のため、特に問題ないですね。「届出年月日」がまだ未定の場合はあえて入力せず、後で手書きする方が楽かもしれません。
- 事業所名
- 事業主住所
- 事業主氏名
- 事業主電話番号
- 届出年月日
- 申請先
雇用保険被保険者資格取得届の印刷をする
入力が終わったら右下の「帳票作成」をクリックしてみてください。入力内容に問題なければ、これでPDFがパソコンに保存されます。後はそのデータを開いて印刷をするのみとなります。
入力をしてない箇所があっても空白で処理されるのが意外と便利すぎる・・。(後から手書きできるから)
ちなみに次のようなPDFが出力されます。(入力内容に意味はありません)
まとめ
いかがでしょうか。ここではハローワークインターネットサービスを利用した雇用保険被保険者資格届の作成方法についてまとめてみました。PDFで作成できる、ということは提出後にそのまま電子保管ができるというメリットもあります。
今まで存在を知らずに、ずっと手書きをしていた人もこれを機会にパソコンで作成してみてはいかがでしょうか。
またもっと簡単に入退社の書類を作成したい、という人は【人事労務freee】などのソフトを使ってみる方法もあります。というのも、ハローワークの帳簿作成機能は、以前に比べてかなり使いやすいものとなっています。しかし入社や退社の手続きが必要なのは、ハローワークだけではありません。
- 社会保険手続き
- 市町村への手続き
それぞれが独立して申請しなければならない割に、入力する内容は同じようなものです。ソフトならば、一回の入力で申請書類を同時に作ることも可能です。給与などの情報も転記する必要なく、そのまま自動で申請書類に利用することもできますね。
社員が少なくても使いやすい!
私は「手書き→公的な作成サービス→人事労務freee」の順番でした。最初から人事労務freeeを使っていれば‥、という後悔はあります。
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